臨床工学室
概要
スタッフ体制
当院では、10名の臨床工学技士が在籍しています。特筆すべき点は、男女比が5:5であることです。臨床工学技士会の正会員における男女比は7:3ですので、当院は女性技士が活躍できる環境と言えます。また当院では積極的に資格を取得し、学会発表にも取り組んでいます。下記に記載するように、臨床工学室のスタッフは、医療の現場を支える重要な存在として、患者の安全と治療の質を守るために欠かせない役割を果たしています。
所得資格
以下の資格を持つ技士が在籍しており、さまざまな医療現場で活躍しています。
資格 |
人数 |
---|---|
透析技術認定士 | 7 |
3学会合同呼吸療法認定士 | 5 |
心血管インターベンション技師(ITE) | 4 |
臨床ME専門認定士 | 1 |
腎代替療法専門指導士 | 1 |
認定血液浄化関連臨床工学技士 |
1 |
消化器内視鏡認定技師 |
1 |
認定医療機器管理臨床工学技士 |
1 |
周術期管理チーム臨床工学技士 |
1 |
術後疼痛管理研修修了 |
1 |
過去の学会発表履歴
- 日本臨床工学技士会
- 日本透析医学会
- 日本心血管インターベンション治療学会
- 日本手術医学会
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 日本循環器学会
その他、各地方会でも学会発表を行っています。
業務内容
臨床工学技士は、血液浄化、手術支援、循環器系の治療、集中治療、医療機器の管理を担当しています。各技士が専門性を活かし、得意分野を担当することで業務の質を向上させています。また、全員が透析業務や集中治療、機器管理に対応できる体制を整えています。
特色・トピックス
血液浄化
【透析】
当院の透析室は20床を有し、腎臓内科医や看護師と連携し、外来および入院患者の透析を行っています。感染対策の必要な患者さんに対し陰圧個室で対応し、感染対策を徹底しています。多人数用透析装置では、On-LineHDFを行う為にガイドラインに沿った水質管理を行っています。
【シャント管理】
エコーガイド下穿刺やシャントトラブルスコアリングを用いて、早期に異常を発見するよう努めています。シャント治療が必要な場合は心臓血管外科と連携して血栓除去術またはVAIVT(経皮的バスキュラー・アクセス拡張術)の清潔操作を実施しています。
【その他特殊血液浄化】
当院ではPE(血漿交換)を症例に応じて膜分離法と遠心分離型を使い分けて治療を行っているのが特徴です。LDL吸着を含め心臓血管外科と連携して積極的に治療を行っています。PA(血漿吸着)については関連部門と連携してIAPP(免疫吸着法)も実施しています。また、血液内科からの依頼でPBSCH(末梢血幹細胞採取)やBMP(骨髄濃縮)を行い、麻酔・緩和医療科からの依頼でCART(腹水濾過濃縮再静注法)も実施しています。 他科からの依頼で上記に記載していないアフェレーシスにも対応しています。
透析業務(左から 透析室業務・水質管理・特殊血液浄化)
手術関連
【手術支援ロボット(da Vinci)手術】
ロボット手術では、機器のセッティングやトラブル対応を担当し、婦人科、泌尿器科、消化器外科の手術に関与しています。
【心臓血管外科】
心臓血管外科では、EVAR(腹部大動脈ステントグラフト内挿術)やEVT(末梢血管治療)などにおいて、清潔介助を行います。
【自己血回収術】
心臓血管外科や婦人科、整形外科手術で使用される際に、自己血回収術を実施します。
【手術室内医療機器の管理】
手術室スタッフが安全にかつ円滑に機器を使用できるよう、機器マニュアル整備や機器トラブル対応、手術室スタッフ向け研修会を行っています。
【外科内視鏡関連製品の保守管理】
内視鏡関連製品の不具合時の点検や修理にも関与しています。
手術室業務(左から ロボット手術・手術室機器管理・心臓血管外科手術)
循環器関連
【心臓カテーテル関連 】
当院では、CAG(冠動脈造影)、PCI(冠動脈インターベンション)、アセチルコリン負荷試験、各種フィジオロジー検査(冠血流機能評価など)などを積極的に行い、技士はカテーテル操作の清潔介助やIVUS・OCTの計測など外回り業務も担当しています。その他CMD(冠微小循環障害検査)にも積極的に関与しています。
【 ペースメーカーと植込み型心電計 】
ペースメーカーの植込み・交換時のPSA(ペーシングシステム解析器)操作やリード留置位置の確認を行い、植込み後の設定や遠隔モニタリングのサポートも実施しています。ペースメーカー外来でペースメーカーチェックを実施します。MRI撮影時、手術時(緊急時を含む)などペースメーカーの設定変更が必要な場合に対応しています。
【カテーテルアブレーション 】
2024年度より開始したカテーテルアブレーションでは、心内心電図のモニタリングや波形解析を行い、3Dマッピングシステムを使用して治療部位の情報を構築します。
集中治療
【人工呼吸器関連】
人工呼吸器の使用中点検を1日2回行い、呼吸器(IPPV:侵襲的陽圧換気、NPPV:非侵襲的陽圧換気)や酸素療法の装置(HFNC:高流量鼻カニュラ)の管理を行っています。使用後の点検や定期点検も実施しています。必要に応じて専用機器を用いた院内定期点検を行っています。
【血液浄化関連 】
集中治療室では、個人用透析装置やRO装置を使用し、重症患者に対する透析やCRRT(持続的腎代替療法)を行っています。
【補助循環】
IABP(大動脈内バルーンパンピング)やECMO(体外式膜型人工肺)に対する24時間体制の管理を行い、緊急時にも対応しています。
集中治療業務(左から 人工呼吸器管理・血液浄化・ECMO/IABP/CHDF治療中)
機器管理
医療機器管理システムを使用して、機器の管理を行っています。輸液ポンプやシリンジポンプ、ネブライザなどの機器は医療機器中央管理室で管理し、終業始業点検および定期点検を実施しています。また院内各所にある様々な医療機器のトラブル対応もおこなっています。 病院医療機器購入部門と連携して各種、医療機器の購入について検討しています。機器の修理・点検においても故障の原因を追求して再発防止するように努めています。
機器管理業務(左から 医療機器医療機器中央管理室・医療機器研修会風景)
他業種連携業務
【RST(呼吸ケアチーム)メンバーとしての活動】
医師・看護師・理学療法士と連携して人工呼吸器装着されている患者さんの呼吸をサポートする活動をおこなっています。
【APS(術後疼痛管理チーム)ラウンド 】
術後の回復に向けて、麻酔科医、手術室看護師、薬剤師と連携し、手術翌日にラウンドを行い、機器に関するアドバイスを提供します。
【各種医療機器に関する看護師向け研修会の実施】
看護部と連携して新人看護師研修をはじめとした、各種医療機器教育を実施しています。
(左から RSTラウンド・APSラウンド)
【緊急対応】
24時間体制で緊急カテーテル検査/治療・緊急手術・緊急透析のオンコール対応を行っており、ECMOをはじめ、手術室と集中治療室での対応など高度な治療をおこなっています。 そのため各種シミュレーションや定期的なICLS(院内救命処置訓練)をおこない、緊急時の円滑な対応ができるよう努めています。