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脊椎関節炎・リウマチセンター

概要

脊椎関節炎・リウマチ疾患は、診断の遅れや併存症の進行が問題となるため、全人的かつ専門的な医療が求められます。
当院ではカルテベースで、脊椎関節炎約500例、関節リウマチ約450例、膠原病約100例を診療しており、この豊富な実績をもとに2025年10月に「脊椎関節炎・リウマチセンター(SpaRC)」を設立しました。

本センターでは、脊椎関節炎・リウマチ疾患の早期発見・早期治療と生活の質(QOL)の向上を目指し、多診療科・診療部門、さらに乾癬センターをはじめとする9つの診療センターと連携した包括的な診療を提供します。
また、大阪大学免疫内科・整形外科と連携し、臨床・研究・教育の三本柱を基盤に、次世代を担う医療人材の育成にも貢献します。

特色・トピックス

    チーム医療の実践

    整形外科、免疫内科、皮膚科、看護部など多領域が緊密に連携し、包括的な医療を提供しています。
    特に2019年に設立された「乾癬センター」との協働は大きな特色です。乾癬センターでは、尋常性乾癬約1,200名、掌蹠膿疱症約120名を、5名の皮膚科医(うち3名は皮膚科専門医)が診療。この基盤を活かし、乾癬性関節炎や掌蹠膿疱症性骨関節炎に対しても皮膚科と整形外科が連携し、質の高い診療を実践しています。
    特に火曜日にはEブロック皮膚科ブースで「乾癬性関節炎外来」を開設し、皮膚科と整形外科(担当:辻)が共同診療を行っています。この横断的体制は、患者さんに安心と利便性を提供しています。

    リウマチロコモ外来(週1回・金曜日)

    関節および脊椎病変の評価に加え、骨粗しょう症・サルコペニア・フレイルを含む総合的評価を実施します。

    患者教育プログラム

    ・看護師:生活指導、生物学的製剤の自己注射指導
    ・薬剤師:薬剤指導
    ・管理栄養士:栄養指導
    ・理学療法士・作業療法士:運動指導、ADL指導
    ・医療ソーシャルワーカー(MSW):公的サービス手続きのサポート

    短期集中治療プログラム(乾癬入院パス:乾癬センター)

    乾癬センターと協働し、1週間で検査・食事・運動療法・光線療法を集中的に実施します。

    専門看護師の育成

    リウマチナース・フットケアナースを育成し、足部ケアや感染予防を含む全人的な看護を提供します。

    治験・臨床研究

    複数の治験を進行中であり、新規治療法の開発、バイオマーカー探索、診療標準化に貢献しています。

    リアルタイムデータベースの構築(2025年度内導入予定)

    リウマチ・脊椎関節炎の診療支援ツール「リウマチ・SpAノート」を導入予定です。
    疾患活動性評価、血液生化学データ、薬剤投与歴、手術歴、患者立脚型アウトカム(PRO: Patient-Reported Outcome)を診療ごとにリアルタイムで記録・評価し、診療の質向上と待ち時間短縮に寄与します。

    地域医療との連携

    地域の診療所・基幹病院と連携し、紹介・逆紹介体制を整えています。慢性疾患である脊椎関節炎・リウマチ疾患の継続診療を、地域で安心して行えるよう支援します。

    カンファレンス・勉強会

    【院内】
    ・呼吸器・免疫内科との臨床カンファレンス(隔週)
    ・乾癬センターとの3科合同カンファレンス(月1回)
    ・脊椎関節炎・リウマチセンター合同カンファレンス(年2回)

    【院外】
    ・3病院合同ZOOM抄読会(毎週金曜:NHO大阪南医療センター、奈良県西和医療センター、日本生命病院)
    ・4病院リウマチ合同カンファレンス(年1回:新潟県立リウマチセンター、兵庫県立加古川医療センター、NHO大阪南医療センター、日本生命病院)

    さらに、地域の医師・医療従事者を対象とした教育セミナー(SpA塾)や研修を開催し、診療技術・知識の共有を通じて地域医療全体の質向上を図ります。

     スタッフ紹介

    センター長

    辻 成佳(整形外科・リウマチ指導医)
    日本脊椎関節炎学会理事(2027年学会長予定)
    厚労科研「難治性疾患政策研究事業」強直性脊椎炎に代表される脊椎関節炎及び類縁疾患の医療水準ならびに患者QOL向上に資する大規模多施設研究班

    ①掌蹠膿疱症性骨関節炎分科会リーダー ②乾癬性関節炎分科会サブリーダー

    『掌蹠膿疱症性骨関節炎 診療の手引き2022』編集委員長

    『脊椎関節炎 診療の手引き2020』編集委員

     

    診療科メンバー

    ・医師 : (呼吸器・免疫内科、皮膚科、内分泌・代謝内科、消化器内科、眼科、耳鼻咽喉科・頭頚部外科)

    ・看護師

    ・薬剤師

    ・管理栄養士

    ・理学療法士

    ・作業療法士

    ・医療ソーシャルワーカー

     診療体制

    【Bブロック(整形外科・辻)】
    ・木曜午前・午後:整形(膝・足の外科、脊椎関節炎)
    ・金曜午後:脊椎関節炎外来・リウマチロコモ外来

    【Eブロック(整形外科・辻)】
    ・火曜午前・午後:乾癬性関節炎外来

    【Aブロック(呼吸器・免疫内科)】
    ・村上:月曜午前、水曜午前、金曜午前
    ・廣海:火曜午前
    ・新規Dr(調整中)

    <外来受診について>
    当院外来の受診には紹介状と診療予約が必要です。まず近隣の病院・診療所で紹介状をご用意いただき、当院「あったかサポートセンター」を通じてご予約ください。

    <対応疾患>
    ・膠原病一般:呼吸器・免疫内科
    ・関節リウマチ:呼吸器・免疫内科、整形外科
    ・脊椎関節炎:整形外科、呼吸器・免疫内科
    ・リウマチロコモ外来:整形外科

    疾患紹介

    ・関節リウマチ:20〜50代女性に多く、発症3か月以内の受診で進行抑制の可能性が高い。生物学的製剤や経口薬の進歩により「骨びらんのない時代」が到来。

    ・脊椎関節炎(乾癬性関節炎・強直性脊椎炎など):若年発症の腰痛や朝のこわばりが特徴。MRI診断の普及で早期診断が可能。生物学的製剤やリハで早期から進行抑制が期待できる。

    ・掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO):掌蹠膿疱症に伴う骨関節炎で、胸骨・脊椎・末梢関節に炎症を生じる。皮膚科・整形外科・免疫内科が連携し包括的に診療。

    検査紹介

    ・関節超音波検査:滑膜や微細血流を観察でき、レントゲンで骨破壊が起こる前に異常を検出可能。リウマチ早期診断や病勢評価、痛風・偽痛風・変形性関節症の鑑別にも有用。被曝がなく安全に実施可能。

    想定患者数(2025年度時点)

    ・関節リウマチ:450例
    ・脊椎関節炎:計425例
     - 乾癬性関節炎(PsA):350例
     - 強直性脊椎炎(AS):15例
     - nr-axSpA:5例
     - IBD関連SpA:5例
     - その他(未分類SpA、反応性関節炎など):50例
    ・掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO):70例