泌尿器科
概要
大阪大学泌尿器科学教室との密接な協力関係の下、泌尿器疾患および男性生殖器疾患の診療を行っています。とくに泌尿器悪性腫瘍に対する診断と治療に多くの経験を有し、前立腺癌、膀胱癌、腎細胞癌、腎盂尿管癌に対して、手術療法・放射線治療・薬物療法を組み合わせた集学的治療を、常に最新の知見を取り入れながら行っています。
前立腺肥大症に対しては、標準としての内視鏡的切除術以外に、より低侵襲治療である前立腺吊り上げ術も導入しています。 尿路結石に対しては従来から行っている体外衝撃波による破砕術に加え、高性能な軟性尿管鏡とレーザーによる経尿道的砕石術も行っています。 すべての泌尿器科疾患に対して、エビデンスに基づいた標準的治療を患者様にあわせて行うことを心がけています。
特色・トピックス
前立腺悪性腫瘍に加えて、腎悪性腫瘍、腎盂・尿管悪性腫瘍、膀胱悪性腫瘍においてda Vinci(手術支援ロボット)を用いた腹腔鏡手術を行っています。
主な疾患対象
- 泌尿器科疾患一般
- 前立腺癌、膀胱癌、腎細胞癌、腎盂尿管癌、腎結石、尿管結石、前立腺肥大症など
主な診療内容
泌尿器科は内視鏡や腹腔鏡を用いた手術、体外衝撃波結石破砕術など低侵襲医療を中心として行っており、da Vinci(手術支援ロボット)を用いた腹腔鏡手術も積極的に施行しています。
50歳以上の男性の前立腺がんが著しく増加しています。前立腺特異抗原(PSA)を測定し、異常値であれば前立腺生検が適応となります。肉眼的血尿あるいは尿潜血陽性の患者さん、排尿障害、尿失禁を訴える患者さんは、前立腺肥大症や、泌尿器悪性腫瘍の初期段階のこともあります。各種特殊検査を行い、その結果および標準的な治療方針についてお知らせします。悪性腫瘍の治療は手術、放射線治療、薬物療法などの選択肢から患者様と相談しながら決定していきます。
尿路結石に対しては、症例に応じてレーザー装置を用いた治療や、体外衝撃波結石破砕装置で満足度の高い治療を提供します。
新たな前立腺肥大症の低侵襲治療
経尿道的前立腺吊り上げ術(Urolift)について
新たに当院では、前立腺肥大症に伴う排尿障害に適応される植込み型前立腺組織牽引システムの治療ができるようになりました。
前立腺肥大症は、尿の通り道である前立腺が肥大し、通り道を塞いでしまう病気です。
経尿道的前立腺吊り上げ術(Urolift)は、前立腺の中にインプラントを埋め込み、尿の通り道を開通させ、排尿できるようにする治療法です。
①
デリバリーデバイスを経尿道的に標的 とする閉塞部位まで挿入します。
②
デリバリーシステムから送り出すニードルを介して留置される小型のインプラントによって、閉塞 の原因となっている左右の前立腺葉を圧迫し、牽引します。
③
システムによる治療は、閉塞した尿道を再拡大することにより、迅速で信頼性の高い症状の緩和を提供します。
デリバリーシステムにはインプラント 1個が装填されており、ひとりの患者さんに対して 通常4~6個のインプラントを留置します(1)。
再現性の高い持続的な効果
患者さんの良好な回復と持続的な治療効果が認められています。
個々の症例の結果は異なる可能性があります。側葉肥大及び中葉肥大を含め、前立腺体積が100ccまでの男性に適応となります。
植込み型前立腺組織牽引システムによる治療後に期待できること
- 早期の症状緩和と回復が得られています(1,2)
- 術後射精機能障害または勃起障害は、一過性の症状があっても消失し、新規発症はありませんでした(2)
- これまでの前立腺肥大症の治療の中でも術後カテーテル挿入率が低いです(3)
- これまでの前立腺肥大症の治療の中でも前立腺の組織に壊滅的な損傷を与える可能性が低いです
- Roehrborn, J Urology 2013
- Shore, Can J Urol 2014
- Shore Can J Urol 2014
手術実績
膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) |
67件 |
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経尿道的尿路結石除去術(レーザーによるもの) | 43件 |
腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) | 32件 |
腹腔鏡下腎・尿管悪性腫瘍手術 | 16件 |
経尿道的前立腺吊り上げ術(ウロリフト) | 9件 |
膀胱悪性腫瘍手術(全摘) | 4件 |