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主な疾患(治療方法)

睡眠障害

国民の数人に一人は何らかの睡眠問題を抱えているといわれます。この中で本人の予期するよりも短時間の睡眠や浅い睡眠しかとれない状態を不眠と呼びます。不眠は神経科や精神科の外来では最も多い訴えですが、治療の必要がない場合から、種々の精神疾患が隠れている場合まで様々であるため、根拠ある診断が必要です。当科では睡眠障害の診療を標準化するためのガイドラインに沿って診断を行い、対応を決定しています。
睡眠障害にはこの他、睡眠中の異常な行動や運動、昼間の眠気、いびき、呼吸障害、睡眠・覚醒の周期やリズムが障害された状態などが含まれ、一部は当科でも対応しています。

気分障害(感情障害)

これは一定時期にわたる感情の変化を主な症状とする病気で、うつに変化するもの(単極性うつ病)が最も多く、次にうつと高揚感の双極を示すもの(躁うつ病)がみられます。元来人の感情には波があるものですが、病気によりこれを自分でコントロールできないことはその身体症状と相まって、実は大変苦痛なことです。気分や活動の変化による社会活動への影響も無視できません。
また老年期には脳機能が低下し、心臓病や高血圧などの病気により健康の衰えが感じられやすく、退職や身近な人の病気などを経験しやすいなどの状況が重なり、従来精神的に健康であった人でもうつを来しやすい傾向があります。これを「気持ちの問題だから」と放置すると身体の健康状態も悪化しうることは要注意です。
近年では世界的に気分障害への啓蒙が進んでいるため受診しやすくなっており、また従来よりも安全な薬物療法が確立されつつあります。

不安障害

種々の恐怖症では、倒れたり病気になる不安から公共の場を恐怖したり、あるいは社会集団の中で他人から注目を浴びることを恐れることから、そのような場面を避けることが定着してしまいます。また逆に、パニック障害では社会場面や環境に関係なく不安発作が突然起きるため、余計に不安と苦痛が高まるという特徴があります。
この他、強迫性障害では、過度に清潔にこだわったり、間違いなくドアを閉めたか何度も確認を繰り返しなかなか安心できない、配偶者への嫉妬など自分でもおかしいとわかっている事柄を何度も考えてしまうなどの症状がみられます。
過去、恐怖症やパニック障害は純粋なこころや性格の問題として扱われがちで、強迫性障害についても珍しい病気で治りにくいなどの偏見がみられました。しかしこの20年間に、決してまれな病気ではないこと、薬物療法や行動療法により良好に治療できる場合がかなりあることが知られるようになり、多くの偏見が取り払われつつあります。この背景にはうつと同様に不安に関する生物学的な知見の増加があります。

慢性疲労症候群

CFSはこれまで健康に生活していた人に原因不明の強い全身倦怠感、微熱、疼痛、思考力・集中力の低下、抑うつ状態などが生じ長期にわたって続くため、健康な社会生活が送れなくなる病気です。
1984年米国の一部地域でCFS流行が起き米国防疫センターが調査を行ったことから世界的に注目され、本邦では1991年から2005年までCFSや疲労のメカニズムを研究する厚生省(当時)・文部科学省のチームが発足しています。
CFSは感染症をきっかけに発症し感冒様症状を伴うことが多いなどの特徴から、ウイルス感染症が疑われ、多くの原因ウイルスが調べられました。現在ではCFSはウイルス感染症そのものではなく、ウイルス感染のみならず種々の生体ストレスがきっかけとなった後段の状態と考えられています。ここではリンパ球などの免疫異常、副腎から分泌されるホルモンや水分代謝などの内分泌異常、脂肪酸をエネルギーに変える働きの一部を担うアシルカルニチンの脳内異常などが生じていることが知られていますが、現在のところ治療に用いることはできません。CFSは一般には純粋な精神疾患とみなされていないにもかかわらず、一部の症例については精神科において、疲労のために活動性が低下することに注目し、生活指導や少量の薬物を用いた治療が行われ、ある程度の有効性が示されています。

ストレスが関与する疾患

狭義のストレス障害(急性ストレス障害、心的外傷ストレス後障害)のみならず、多くの疾患に心理・社会的なストレスが影響を及ぼします。
心理・社会的なストレスには、日常的で持続するストレスと突発的で事件型のストレスが区別されます。特に日常的なストレスは我々現代人の多くが体験していることで、それが病気や不適応を引き起こすかどうかは、その強度、個人のストレス感受性や対処行動、ストレスに直面したときの心身の状態、社会的立場や自己実現の度合いなど多くの要因が総合して決まると考えられています。一方、自己実現できる仕事内容が個人によって異なるように、適度のストレスはむしろ健康によいといえます。
このように一口にストレスが関与する疾患といっても、それは個人の心や身体の要因が強いものから、環境側の要因が強いものまでさまざまです。さらに心理社会的ストレスは適応障害、気分障害、不安障害、慢性疲労症候群などを発症させたり悪化させます。
当科ではこれら多くの側面を評価して治療にあたっています。まずストレスの量を適度になるよう調整することが重要ですが、のみならず、治療の進行とともに対処行動もゆっくりと変化してゆくことも知られています。我々は、最終的には患者さん自らが病気に対処できるようになることを大きな目標と考えています。

認知症

認知症の高齢者は前駆状態も含めると3~4人に1人とも言われています。アルツハイマー型認知症が最も頻度の高い原因疾患ですが、そのほかにも脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、特発性正常圧水頭症など、様々な疾患があり、原因によって治療や望ましい対応方法が異なります。
当科では、診察にて症状を見極めるとともに、臨床心理士による認知機能検査、頭部形態画像検査(CT、MRI)、機能画像検査(各種SPECT検査)、脳波、血液検査など、必要な検査を実施して、原因疾患の診断を致します。その上で治療方針を決定し、適切な薬物療法や対応方法などを検討します。
また、認知機能障害に伴って出現する精神行動症状は様々であり、ご自身にとってもご家族にとっても大きな問題となることが頻繁です。このような症状への対処についても個々の要因を伺いながら検討します。

こんな症状があったらご相談ください
  • 同じことを何度も言ったり聞いたりする
  • ものの名前が出てこなくなる
  • 置き忘れやしまい忘れが目立つ
  • 時間や場所の感覚が不確かになった
  • 病院からもらった薬の管理ができない
  • 以前はあった関心や興味が失われた

以上です。